コーポレート・ガバナンス評価研究会では、コーポレート・ガバナンス、内部統制、リスクマネジメントについて日々研究しております
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ICGNについて
(2003年06月12日)
1.ICGNの概要
・ICGN(The International Corporate Governance Network)は、英国法に基づいて設立されたが、2000年8月より、事務局はロンドンに置かれている。
・ICGNの目的はコーポレート・ガバナンスの課題に関わる情報や見解を国際的に交換し、ガバナンスの基準やガイドラインを設定し、更には秀でた コーポレート・ガバナンスの実践を遂行するために様々な支援・助言を行う。
・ICGNの主な活動は毎年各国で年次総会を開催し、コーポレート・ガバナンスに係わる原則や実践の現状についてチェック・報告し、良きガバナンスの 推進を行う。
2007年の年次総会はケープタウンで行われる。東京大会は2001年に行われた。尚、メンバーが保有する資産総額は1995年6兆ドルであったが今日の 時点では10兆ドルを越えていると言われる。(ICGNのホームページ)

(1)ICGNの歴史
ICGNの発足は1989年に@米国のカルパース、クレフ、CII、A英国の保険協会、キャドベリー・ハンペル委員会、年金協会、及び、Bベルギーの欧州政策研究センターが中心となっていたコーポレート・ガバナンス・フォーラム等をはじめとした欧米の公的私的年金基金が中心となって、設立構想が議論された。 カルパースのクリス会長が中心となり1994年のCIIの会議でICGNの設立が公式に確立した。この公式会議にはIRRC、ISS、カリフォルニア州教員退職年金基金(Calster)、バークレー・グローバル・インベスターズ、豪州投資運用協会等が参加した。 翌1995年第1回目のICGN会議がワシントンで開催され、カルパースのクリスが議長に就任した。この第一回の会議には上記の機関投資家以外にAFL-CIO、全米年金協会、欧米の年金基金をはじめ、欧州のコーポレート・ガバナンスの専門家や株主の権利に関心の強いコンサルタント等も加わった。 当初、ICGNは年金関連の機関投資家が中心になって動き出したが、その後欧州ディーラー協会、パリ証取、ドイツ証取をはじめ、ほかの多くの有力金融機関や市場関係者も加入するようになった。尚、1995年当時の加入会員全員の運用時価総額は、約6兆ドルであった。 1996年にロンドンで第2回目の会議が行われ、1997年はパリでパリ証券取引所等の共催で、1998年はカルパースとAFL−C10の共催でサンフランシスコで行われた。1999年はフランクフルト証券取引所等の主催でドイツで行われた。2000年にはクレフが中心となりニューヨーク証券取引所、ナスダック取引所の協力を得て、ニューヨーク市で開催された。この会議には350人が参加し、40人が講演し、規模が拡大し、マスコミにも大きく報道され存在感を示しはじめた。 2001年アジアで初めての会議として、東京証券取引所等が中心となって東京で行われた。20ヶ国、450人が参加して「社外取締役の問題点」、「経営の透明性」及び「情報開示」等について、ホテルオークラで各国の専門家から真剣な講演や議論がなされ、高まりつつあった日本のコーポレート・ガバナンス論を議論から実践の段階に進ませる一つの契機となった。 2002年度はイタリア証券取引所主催により、ミラノで開催された。たまたまエンロンやワールドコムなど一連のアメリカの企業不祥事があり、国際的に企業会計に対する不信が高まった最中でもあり、クレフのクラップマン議長より米国の不祥事について下記の鋭いコメントが指摘された。
  • 社外取締役の企業トップに対して、独立して「モノ申す」自覚の欠如。
  • ストック・オプション濫用に伴う短期利益のみの追求の弊害の増加。
  • 業績評価をよく見せるため「何でも行う」ようになり倫理感の欠如。
尚、2003年のICGNには、アムステルダムのユーロネックスト証券取引所主催で、2004年はリオにおいて、ブラジル証券取引所、サンパウロ証券取引所等の共催で行われる予定。 各国により株主権の主張の仕方は異なるものの、コーポレート・ガバナンスの認識の高まりと伴に、グローバル化と議決行使のボーダーレス化等が相待ってICGNからの情報発信は株式市場と株主権利の民主化と公正化のためにも重要になりつつある。特に米国の不祥事からの反省からICGN加盟のカルパースをはじめとする年金は、社外取締役を独自に探し投資先企業に対して株主総会において受け入れるよう企業に求める指針を採択する。この指針に基づいて年金の結束が強まれば、年金が主導権をとって企業をリードする「年金資本主義」の時代が到来する可能性もある。
2.ICGNが設立した議決権行使の国際原則
ICGNは1998年にサンフランシスコで開催した第4回目の会議で、議決権行使の国際原則の素案が提案された。その後、各地における会議において、株主に対する「説明責任」を遂行する最も重要なポイントは株主の議決権行使の執行過程であるとの認識のもとに推敲を重ねて、完成したものが別紙の議決権行使の国際原則(ICGN Share Voting Principle: ISVP)である。

議決権行使にかかわる国際原則
  • 議決権行使は公平・平等に
    企業は株主保有数や株主の所在地にかかわらず、同一の議決権を公平に送付することとし、その議決権行使は株主または代理人によって行われるべきであること。
  • 招集通知
    企業は株主が判断するための合理的な時間的余裕を配慮して総会資料を送付し、かつ株主に対して招集通知書に日時;場所を明示しできるだけ多くの株主へ配布すること。
  • 議題
    株主総会の通知書は議題の内容が理解しやすいように誠実に提示され、議決権の行使を番号順に記載すること
  • 議決権行使の期限
    議決権行使書の締切についてはぎりぎりに設定すること。
  • 議決権行使の正当性
    発行会社は議決権を正当に有する株主をキチンと管理し、かつ株主には費用をかけずに議決権を行使できるようにすること。

  • 世界的に株式が分布保有されている企業の招集通知とその関連資料は自国語のほかに国際的に使用されているもう1カ国語で適時・正確に記述されること。
  • 議決権行使の手続
    議決権の行使は、株主の利便性を配慮し、郵便、電話、FAX、インターネット、スイフト、Eメール等のさまざまの最新の手段で行うことができるよう見直しすること。
  • 検査役の選任
    株主には自分の議決権行使が挙手であれ、賛成という声であれ、正確かつ公式に算定されたかどうかをチェックする権利があること。
  • 費用
    議決権行使に係わる費用をできるだけ最小化すること。
  • ルール監督
    適正なルールに則り、きちんとした機関が総会資料の送付が適切に行われたかどうかを監視すること。
  • 原則の実行
    この議決権行使の原則が世界の各市場において実施されるように関係者は専念すること。
3.ICGNのコーポレート・ガバナンス原則
ICGNはOECDが1999年6月に承認した「コーポレート・ガバナンスのOECD原則」をベースにして以下の5原則を同年7月のフランクフルト会議にて採択した。

(1)株主の権利
  • 発行体のコア・ビジネスを大幅に戦略的に変更する場合は、事前に株主から承認を得ること。また、株主の稀薄化や株主の経済・利益・権利が損われる場合も株主から事前にそれらの変更事項に関して承認を得ること。株主に承認を求める場合は、株主に対して、判断するに足りる十分な資料・情報を事前に提供すること。
  • 株主総会において株主が議決権行使をする権利は、ICGNが1998年7月の採択「議決権行使に係わる国際原則」に基づいて行われるべきである。ICGNは特にIT利用の電子投票等の投票方法の改善普及に支援する。
  • ICGNは議決権投票が委任状を含めて平等に実施され、透明性の観点から、投票が適正に集計され、記録され、結果の公表も迅速に行われることを強調する。
  • 一株、一票の原則を逸脱し、特定の株主に特別な議決権行使を附与することは好ましくない。こういう場合は、事実関係を開示し、正当な理由付けを行うべきである。
  • 機関投資家は極端な費用と問題がなければ、受託者責任として投票すべきである。
(2)株主に対する株式の取扱い
ICGNはOECDが承認した一株一議決権という概念は株式市場の長期的成長の観点からも確認すると同時に、取締役会は、当該企業のすべての株主に対して公正に取扱い、少数株主や外国人株主を含めたすべての株主の権利を確保すべきである。

(3)コーポレート・ガバナンスに係わる利害関係者の役割
取締役会は、発行体の株主各位に対する説明責任があると同時に、利害関係者各位に対しても良好で前向きな取引関係を維持・発展させることに責任を有する。 ICGNはOECDが発表済の「企業と利害関係者との前向きな強調関係は長期的に利益をもたらし、雇用を安定させ、財務をしっかりさせるために重要である」という基本方針に見方が一致する。 また、業績評価主義は従業員の参加意識を高めると同時に株主と利害関係者の利害も一致させると確信する。

(4)情報開示と透明性
企業は株式資料の必要にして十分な企業情報を迅速に開示し、投資家に対して企業買収、企業の権利・義務の認識、株式の売却等の判断資料を提供すべきである。
  • 株式所有者と議決権
    財務・業務報告に加えて、企業の目的・リスク要因・利害関係者に関する課題、ガバナンスの組織、その他OECDのガイドラインで記載されている各種情報は必要である。これらの情報には、企業を支配する大株主、特別議決権、株主協定書、大株主の実質株主名、影響力のある株式持合当事者、保証書差し入れ先、特別議決権の有無等々があげられる。
  • 取締役会のメンバー情報
    企業価値の評価の判断のために、取締役候補の開示をし、以後の年次報告書に各取締役の身分証明、資質、職歴、他の兼職取締役、独立性に影響を与える要因、その他取締役としての全般的資格等の情報開示を求める。また、取締役候補の人選手続については毎年開示すべきである。
  • 役員報酬
    取締役及び主要執行役員の報酬は株主利益と直結している。従って、企業は各年次報告書又は招集通知書に報酬を開示し、出来れば各取締役とトップの執行役員の個別役員報酬を開示すべきである。
  • 監査
    企業の年次監査は独立した外部の会計監査によって行われ、監査の質と独立を保つべきである。ICGNは最も厳格な国さじ会計基準の導入を支援し、企業がこれらの基準を採用することを推奨する。
(5)取締役の責任
  • 独立した取締役
    取締役は業務執行に関して、客観的に判断を下し、特に経営陣から距離をおいて判断すべきである。 このため、ICGNとしては、まず取締役は、取締役会として、取締役メンバーとしてまた個人としても、すべての株主の受益者の利益のために行動し、株主全体のために説明責任を負うべきことを自覚すべきである。また、どの取締役会でも十分は資質を有した独立した社外取締役を参入させるべきである。社外取締役の任務は経営陣の戦略・業績のチェックと助言を行なったり、各種委員会への出席をし、全体として取締役の業務遂行に努めることである。
  • 独立委員会 監査・指名・報酬の各種委員会は、利害関係が対立しがちであるため独立した社外取締役であるべきである。
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