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カルパースの対日ガバナンス投資
(2004年10月05日)
カルパースは9月20日、株価が低迷しコーポレート・ガバナンスの再構築が必要と思われる日本の上場企業の株式に 2億ドル(約240億円)投資すると発表した。これは投資対象先企業を数社に絞り、最初は数%の株式を購入し、 様子をみて30%まで買い増しし、他の株主、ステーク・ホールダーズ及び従業員らと協調して投資先企業の株価を アップさせようとするもの。本件発表に際し、カルパースの理事長クリス氏は、
  • 日本の株式市場はコーポレート・ガバナンスの重要性についてまだ理解が十分でない。また、日本企業の ガバナンスの実践も、ここ10年間の米国のガバナンスの動きに追いついていない。
  • 特に日本の企業は伝統的に大銀行や経営トップのみが企業統治をして来たが、銀行の支配力が後退しつつある。
  • 従って、ガバナンスの観点から日本においてこの種の株式投資をする機が熟した。
と述べている。

この「ガバナンスを再構築」することを念頭にした株式投資の当事者は、カルパースの他に、共同投資者になる独立系の運用会社Relational Investor(本社:サンデエゴ市)と日本側の運用アドバイザーのSpax Asset Management Company の3者である。カルパースが対日投資を行うこの手法は、「活動的ガバナンス戦略」と言われ、米国においては既に実施している。つまり、ガバナンス上問題があって株価が低迷しているターゲット企業に対し、当初3〜10%株式を買い、経営陣、取締役、及び他の株主の意見を聞き入れない場合は、当該株式を買い増しし、株主としての発言力・折衝力を高め、結果として株価を上昇させる。カルパースはこの手法で運用利回りをアップさせ、「発言しなかった」場合よりも効果があったとして、自ら「カルパース効果」と自負してきた。 カルパースと共同投資を行うRelational Investorsの代表者ラルフ・ホイットニー氏は企業買収で日本でも知られているブーン・ピケンズの事務所で1985年から1988年まで法律顧問として働いた経歴がある。ピケンズ氏は小糸製作所の株式を大量に購入し、同社の株主総会で外国人株主として「モノ申した」ためその真意について注目された経緯がある。ホイットニー氏らがどういう投資基準で日本株を選択するか詳細については不明であるが、概ね以下の項目が主なチェック・ポイントと思われる。
  • 時価総額が解散価格より低い企業
  • 発行総株式数がほどほどで株価が低迷気味の企業
  • キャッシュ・フローがまずまずである企業
  • ガバナンスの改善の余地がある企業
  • 経営トップが株主の意見に耳を傾ける気運のある企業
いずれにせよ、ホイットニー氏は1999年にウエスト・マネージメント社とマッテル社の会長を務めかつ1998年以降アップル・ヘルスグループの会長でもある経歴であると同時にデイズニー、エトナ、コナグラ、ヌボウー・エナジーなどの株式を大量に保有する戦略を立てて来たことなどを勘案すれば、株主として権利行使を日本においても積極的に行うと思われる。また、ホイットニー氏の考えと動きは背後にカルパースがいることもあり、今後、上記の範疇に入る日本の経営者には関心が高まると思われる。
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