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2004年の株主総会について
1.株主構成の変化と株主総会
上場企業の株主の顔ぶれが大幅に変わってきた。全国証券取引所が調査した2003年度株式分布状況調査によると個人株主数は 8年連続して増加し、前年度比23万人増加して3,400万となった。一方、日本株保有比率は2003年度で外国人株主が21.8%と 大幅に上昇し、調査開始(1970年)以来最高を記録した。

また事業法人は新規上場会社の増加や自己株式の取得等により、前年度比の0.3%アップして21.8%となった。減少が見られる 投資部門は保有株式の売却を進めている都銀・地銀の5.9%(前年度比1.8ポイント減)、生命保険5.7%(同1.0ポイント減)、 損害保険2.4%(同0.3ポイント減)などの3部門で、いずれも1970年以来、最低を更新した。これは日本経営の特徴ともいえる 株式持ち合いの解消が、毎年着実に進み、株主として金融機関の影が薄くなり、外国人株主、個人株主の存在感が一段と 増してきた。つまり、株主構成が取引先やメーン・バンクなど「与党的株主」が減少し、モノ申す外国人株主や個人株主 という「野党的株主」が主流となった構造的変化が起きつつあると言えよう。

これらの存在感を増してきた株主は株主総会で、ガバナンス関連で議決権行使をしたり、出席して意見や質問を行うことが 多くなってきた。

2.外国人株主
従来、外国人は日本株投資に際して、電機、ハイテク株など国際的に優位になっている分野を2003年度の業種別保有状況で 外国人の保有比率の高いのは保険、医薬、証券、自動車、電機などの分野である。特に2003年度に外国人が投資額を増やした 業種は銀行、保険、不動産、ガラス・土石、海運などであった。

株式持ち合い解消の受け皿として、この外国人株主が期待されてきた。しかし外国人株主はドライであるため、中長期にわたり 保有してくれる「安定株主」と見ることは難しい面がある。

別紙は外国人株主比率の変動ランキングである。事業の再編などで流動化した株式が外国人に渡ったケースもあったが、1年間で30〜40%外国人株主が増加した企業もあれば、その比率が20~25%と大幅に低下した企業もある。個人株主ではこのような大幅な変動は社会的不祥事など特殊な事故・事件が起きない限り見られない。
3.個人株主
(1)個人株主の動き
2003年度の株式分布状況調査で、個人株主数(延べ人数)は前年度比23万人増えて3,400万人となった。この個人株主は株式持ち合い解消の受け皿として外国人株主とともに多くの企業が意識的に増やそうとしてきた。またインターネット取引の普及や手数料の引き下げなどが追い風となり、個人株主数は1996年以降、8年連続で増加記録を更新している。 ここ1~2年の株主総会において、個人株主の出席とその発言が多く見られるようになった。金銭を目当として、会社を困らせようとしてイヤガラセの発言をする総会屋とは異なり、個人株主の意見や質問は純粋である。総会の議事運営とは無関係な発言をする個人株主もいるものの、多くの個人株主は会社に対して真面目な意見や質問をする。また個人株主は言ってしまえば満足で、議長(社長)に詰問することは稀である。しかし個人株主は以下に述べるようにプラスとマイナスの側面がある。

(2)個人株主増加のプラスの面
個人株主が増えれば増えるほどその企業に関するメディアの報道が多くなり、企業名の露出度も高まるだけでなく、結果的に株主を大事にするというイメージ・アップにもなる。また個人株主の増加は当該企業の売上高像に直接結びつかないが、消費財関連や外食・食材関係企業は「根強いファン」の消費者を増やすことになろう。 一方、株式関係の側面から見ると、個人株主が増えれば中長期にわたり、その企業の株式を保有してくれる層が多くなり、株式保有の定着率がアップする。 株主数が多ければ多いほど、株価の値が立ちやすくなり、取引の流動性も高まるメリットもあり、その企業の株価が適正に形成され、大きくブレたり、乱高下も少なくなるといえる。

(3)個人株主増加のマイナス面
個人株主増加はプラスの面だけでなく、以下のマイナス面も考えられる。
  • 株主総会の時点だけでなく、いつでも株主からの手紙・メール、電話などからの苦情、不満が発せられ、その対応に時間とコストがかかる恐れがある。特に消費財関連、外食関連の企業に対しては個人株主が企業と製品を通じて、生活上接点が多いため、広報・IRは多忙になる恐れがある。
  • 株主総数が多くなればなるほど、その株主管理に一段と手間・ヒマがかかりコスト圧迫の要因となる。このコストは上記のメリットと比較検討されるべきものであろう。
  • 株主総会のためにコストがかかるだけでなく一段と多忙になりしっかりした組織対応が求められる。
  • 株主総会において様々の発言がなされるようになり、経営側も対応に時間とエネルギーがかかる。
(4)個人株主への対応
外国人の株式投資はドライな面が多いが、個人株主はその会社に夢を求めて株式投資する場合が多い。その夢の中には配当、値上がりだけでなく「株主優待」もある。個人株主を大事にすることは、その企業のイメージ向上にもなる。株主総会で個人株主が経営に何のインパクトを与えない、次元の低い質問や意見が繰り返されることがある。この場合、丁寧に、ユーモラスにわかりやすく回答する議長ともう少し勉強してから質問して欲しいし、回答するのは時間の無駄だとばかりに手短に、事務的にしか答えない社長とを比較すると、個人株主の目線から見れば、その企業イメージに関する回答は明らかである。

「開かれた総会」を標榜する企業が多くなりつつある。業種により、企業の規模により、株主構成はいろいろと異なるため、個人株主に対する一定のアプローチは異なる。オリエンタルランドはディズニーの入場券を優待券として毎年配布しているため、株券を額縁に入れている株主もいる。個人株主つくりや個人株主対策のメニューに方程式はない。
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