コーポレート・ガバナンス評価研究会では、コーポレート・ガバナンス、内部統制、リスクマネジメントについて日々研究しております
   ホーム | 記事一覧 | 研究調査の頒布 | リンク集 | お問い合わせ |
不祥事防止が第一
(2006年06月07日)
1.「企業統治を側面から支援する施策」−事業リスクとマネージメント−について
企業を取り巻くさまざまな法規制が順次施行あるいは計画されています。企業統治や不祥事対策(事業継続も含む)など、企業として 整備しなければならない内容です。

平成17年5月、経済産業省は企業が絡む不祥事が続発している事態を重くみて、企業に対して経営陣の意識改革や万一に備えたリスク管理の 指針の公表を求める他、不祥事を想定してどういう対策を取っているのかの情報の開示を義務づける方向で法務省と調整するとしています。 同じ5月、金融庁は全上場企業を対象に不祥事防止に向けて、日々の業務遂行や内部管理の状況、取締役会の意思決定過程などを文書化し、 公認会計士が会計監査の際にチェックする制度を導入する方針を打ち出しています。証券取引法を改正し、平成20年3月期にも義務付ける 方向で検討しているようです。

平成17年12月に国際標準化機構(ISO)は、企業や自治体などの危機管理体制が整っているかどうかを認証する新しい国際規格をつくると発表 しています。各国政府が中心となって年明(18年)から検討を開始し、平成20年夏までに導入する計画です。災害や事故への備えを促し、 社会的な損失を最小限に食い止めるものです。
平成18年5月に施行された会社法は、一言で言って「情報開示」ではと言われています。徹底した「開示」が、会社の健全性と適正性の確保に 重要だということです。

企業改革法の企業統治を不祥事対策という側面から支援する施策の一部をまとめました。ポイントは「株主のためのガバナンス」ですが、 それを実現するのは“情報の公開姿勢”、“従業員の資質”と“重大事象でのコミュニケーション”にあると考えます。
@不祥事防止が第一(抑止体制と従業員資質向上)
・従業員意識と業務ベクトルの統一について
・マニュアルの見直しについて
・ビジネスマナーとビジネスリスクの相関について
・マニュアルのリスク、隙間の存在と思考の停止について
A事態発生時対応(体制づくりと情報公開)
・緊急(危機)時の対応体制づくりについて
・ステークホルダー対応、メッセージ開発と適切手法について
・記者説明(会見)時の手法について
2.業員意識と業務ベクトルの統一について
企業は証取法に則って四半期ごとに業績を情報開示している。また、年度始めの経営方針、入社式の訓示、新年挨拶、株主総会やマスコミインタビュー に中で代表や経営陣は外部に企業理念や経営方針などをコミットメント(約束)として公表している。しかし、多様な雇用形態の従業員が混在している 今日の会社の業務で、そのコミットメントをどの程度認識し発揮しているかが問題になりつつある。
コミットメントは“キーワード”化されたものが多く、理解浸透せず言葉だけが一人歩きしているようだ。多くは、個々の経験あるいは解釈で会社の先端を担う従業員は行動し、その言動は企業の考える水準に達していないところが多い。そこに中間管理職の役割があるはずである。その役割とはコミットメントをそれぞれの業務に落とし込んだ具体的内容(手法)を考え常に従業員に伝え気づかせ業務で発揮させることである。これが意識とベクトル統一に向けた第一歩ではと考える。
また最近、法令順守(コンプライアンス)が叫ばれている。企業は社是や経営理念をはじめ業界特有の規則、法令を確認整理して、従業員に認知させているだろうか。
3.ビジネスマナーとビジネスリスクの相関について
企業はリスク発生の抑制対策を講じている。対策は業務手順(業務マニュアル)をはじめ危機管理マニュアル制作や危険抑止(公益通報ほか)体制の構築に軸足があるようだ。これらマニュアル制作や組織の再構築は、人材と費用投入で比較的容易にできる。しかし、施策を実際に動かす従業員の取り組み姿勢が結果の成否を決めることに気づいてはいるが、資質向上に向けた教育機会を定期的に設けている企業は少ない。
即戦力の確保で従業員の多くを中途採用しているある企業は、ビジネスマナーが欠落した業務対応で新たなリスクを抱えたという苦い経験から、面会対応や電話対応法など、日本のビジネススタイルや社会風潮を取り入れたマナートレーニングを定期的に実施している。
まずは“入り口”で新たなリスクを抱えないことである。ビジネス会話や電話でのことば使い、ビジネスメールと手紙・書面作成の文章力と用語、企業訪問・来社対応、会議室の席次、接遇、エレベータの乗降、タクシーの席次、料飲店でのマナーなど・・・。業務の現場では、面会者や資料の評価者が誰かを見抜き、その人にあわせたビジネスマナーが大事である。マナー違反は、マイナス評価からのスタートとなろう。
4.マニュアルの見直しについて
会社は定期的に組織の改編や人事を異動する。そのうえITによる業務改革でスピード化を図っている。このときが問題である。新たにマニュアル(業務、危機、広報対応マニュアルほか)を制作する費用は、業容や規模で異なるが数百万から千万円以上になるだろう。あるいは既存マニュアルを検証して改訂する手法もある。定期的に見直して“形骸化”を防ぎたい。 例として、危機対応マニュアルの検証作業について触れたい。着手したい重要な内容は次の通り、
  • 昨今の社会風潮や情報技術などの導入により業務手順や手段の変更、従業員の実務経験や年齢層から想定される新たな危険タイプと危機事態について洗い出す。
  • 毎年、役職・管理職から危険・危機認識に関して情報収集(個別インタビュー)を実施する。全従業員(対象は要検討)対象の危険・危機アンケートの実施。目的は“気付き”“啓発”そして危険・危機の共有である。
  • 自社の過去の不祥事態有無および収束法。不祥事における社長ほか役員のマスコミ発表時の説明手法など演習(模擬)を組み込んだメディアトレーニングの実施。
  • 危機タイプ発生時には、全ステークホルダーを対象とした基本メッセージの開発、想定質問と回答案などの開発と発信するタイミングなど手法の検討。
など
5.マニュアルのリスク、思考の停止と隙間について
マニュアルの存在自体が危険(リスク)であると、よくいわれる。指示待ち人間ではないが、マニュアルに則して実行したが、想定外の新たな危機事態を抱えたと聞く。原因はマニュアルの位置付けと理解不足にある。重要なのは、マニュアルに収載された危機事態がどうして挙げられたのか、また、その事態に対してどうしてこの対応法を採るのかを従業員が認識することである。
収載された危機事態対応マニュアルは、関わる人間(実務経験・年齢・性別)、社会風潮・事業環境、日時・季節・・・などの条件や要因ごとに細分化された内容ではない。大切なのは、もっとも近似した危機事態対応マニュアルに準じて、現実の事態対応を従業員個々が推察することにある。マニュアルはあくまでも指針(ガイドライン)である。いわゆる、マニュアルの存在で「思考の停止」を防ぐことである。

あるコールセンターでの出来事。消費者からの苦情に対応したある窓口担当者は、マニュアル通りに対応したにも係らず新たな問題を抱えた。一方消費者と窓口担当者の両者が満足できる解決策を見いだす担当者もいた。後者は、マニュアルの本質を見極めて対応していた。そこにはマニュアルでは書き込めない、担当者自身の“隙間”対応が存在していた。いわゆる資質である。
 (その他の記事一覧はこちらから) 
ガバナンス評価研究会について
 研究会概要
 コーポレートガバナンスインデックス
 主催者の紹介
 出版物の紹介
 お問い合わせ
サービスについて
 記事一覧
 研究調査の頒布(一部有料)
 コンサルティング業務
 リンク集
当サイトは投資勧誘を目的としたものではありません。ここに利用した資料・データは過去のもので、将来を
予測するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われるようお願いします。
また、当サイト情報に基づいて行った株式売買等の取引によって発生した損失に関し、ガバナンス評価研究会は一切責任を負いません。
 ©2007 copyright. All Rights Reserved. Corporate Governance Research Institute.