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2006年6月の株主総会
(2006年10月06日)
1.はじめに
(1)株式持合崩壊状況 株式持ち合いの象徴的な役割を果たしてきた金融機関と事業法人の株式保有比率の減少傾向は変わらず、ここ10年余毎年見られる。1996年に金融機関の保有比率は41.9%、事業法人は同25.6%であったものが、10年後の2005年は金融機関は31.6%(減少10.3ポイント)、事業法人は21.1%(減少4.5ポイント)となった。個人の保有比率は20%前後を推移しているが、外国人の保有比率は引き続きハイペースで増加中で、2005年は26.7%となった。株式持合い崩壊後の保有比率の部門別のトップであるだけでなく、株式売買高においても外国人が50%以上をしめている事実から判断すると、崩壊後の主役は外国人株主になったと言える。
(2)実質株主保有比率
投資部門別の実質株主保有比率は2005年の段階で、金融機関(保有比率31.6%)、外国人(同26.1%)、事業法人(同21.1%)、個人(同19.1%)の順になった。 個人株主の大半が外国人投資家の動向に注目しながら、チョウチン売買動向が強い点も考慮すれば、投資判断は外国人株主と個人株主は類似している傾向が強いといえる。この両部門の「モノ申す株主」で、株主総会にジワジワと影響力を強めてきていることから、これらの株主が今後も増加することは発行体に緊張感を与え、経営トップとしても無視できない存在になりつつあることは否めない。
2.制度面から見た変化
(1)集中日の分散化
10年前の株主総会は上場企業の90%以上が株懇が指定した集中日に開催していたが、色々な非難が出てきたこともあり、毎年分散化が進み2006年は集中日は55.5%、第2集中日は32.1%となった。土・日開催を含めて分散化の傾向は今後も進み、数年内に集中日が50%以下になる可能性がある。
(2)総会時間の長期化
従来は株主総会の所要時間は短ければ短いほど、経営トップは総会の担当者を評価する風潮があった。つまりシャンシャン総会が横行していた。依然として3時間以上かけている総会が電力各社を中心に見られるが、5〜6年前から分かりやく丁寧な総会が多くなり、時間を1時間前後かけるのが全体の60%となった。この時間が延びる傾向がみえるのは、議論が多くされたことによるものより、映像利用などによる時間帯が多くなったためと指摘できる。
(3)議決権行使書の回収促進策
議決権行使書の回収率を高める方策は各社が色々と工夫をしてきた。招集通知書をギリギリに発送せず早めに出状することが次第に多くなってきている。電話や依頼状を発送するケースは減少気味であるが、効率面から大株主に返送を依頼するのが最も多い。 なお、増大する外国人株主に対しては英文招集通知書の作成やホームページに英文の招集通知を掲載する等の工夫をこらす企業が多くなっている。
(4)招集通知書の早期発送
上記指摘のとおり招集通知書を2週間以上前の余裕をもって発送する企業は年々多くなりつつある。特に18日以上前から発送する企業が次第に増加している点は注目される。
(5)電子投票・電子招集通知の採用
議決権行使の電子化を採用する企業は次第に増加している。ネット投票と電子招集通知を行う企業は5年前は50社にも満たなかったが、昨年は300社近くになり、2006年は500社を超えたと思われる。ネット社会到来から、この電子投票・電子招集通知は次第に多くの企業が採用することになろう。
3.総会のコンテンツの特徴
(1)定款変更のラッシュ
定款を変更した企業は600社以上あり、その変更内容は大きく分けて13種類になった。変更の中身は従来の総会でよくみられたものと今年になってはじめて採用されたものなど色々であった。最も多かった変更内容は株主総会への「代理人の人数制限」で約600社が採用した。次に多く見られたのは、「取締役会の書面決議」、「WEB開示」、「単元未満権利制限」などで500社以上が取り上げた。今年から新しく採用された「議決権電子行使」、「取締役の任期1年」、「総会招集地の限定」なども多くの企業で見られた。なお、社外監査役の就任を容易にする一環として「社外監査役の責任限定」を導入した企業は350社あった。
(2)防衛策・内部統制の導入
企業の防衛策や内部統制システムを議案として付議したの企業も多くみられ注目された。 防衛策を議案として付議したのは、新日鉄、資生堂、小田急電鉄、東芝など33社で見られ、営業報告書に記載したのはセントラル硝子、ヤマハなど8社あった。 一方、内部統制システムを記載したのは、監査役会型として伊藤忠、三井物産、リコーなど14社、委員会設置会社型として日興コーデイアル、東芝など6社にみられた。
(3)買収防衛策の主なガイドライン
企業側が付議する防衛策などにたいして「モノ申す」大手機関投資家は以下のとおりのガイドラインで議決権を行使した。
(4)「モノ申す株主」の動き
@企業年金連合会
国内最大規模の年金である企業年金連合会は、6月に株主総会を開催する東証一部上場企業819社の株式を保有している。 2006年6月の株主総会で会社側から4,105件の議案が提案され、928議案に反対した。この反対比率は22.6%で2002年にスタートした議決権行使以降最低であったという。 今年の議会の焦点となった各企業の買収防衛策の導入関連の171件のうち71件(約42%)について反対し、利益剰余金の分配を取締役総会決議で可能にする定款変更については約60%反対した。企業年金連合会が発表した買収防衛策に係わる対応の詳細は以下のとおり、

企業年金連合会の買収防衛策への対応
提案 反対
事前警告方防衛策の導入の合計 82 7
 −豪快に付議されたもの 51 2
 −招集通知にて説明されたもの 26 4
 −プレスリリースのみの 5 1
信託型ライツプランの導入 4 0
株式発行授権枠の拡大 66 45
取締役の解任要件を加重 19 19
買収防衛策全体の合計 171 71
A地方公務員共済組合連合会
企業の防衛策に対する議決権行使は以下の基準で対応した。
賛成する場合
  • 長期的な株主価値向上になり、十分な説明があること。
  • 株主総会の承認を得ること。
  • 防衛策の発動・解除・維持について社外取締役等によるチェックがされ、
  • 具体的な条件が明確なこと。
  • 期間を限定
反対する場合
  • 株主総会の承認をとらずに導入すること。
  • 株主価値を毀損する恐れがある場合十分な説明がない場合。
  • 黄金株や複数議決権行使の発行
  • デッドハンド型の防衛策
  • 株主発行授権枠の拡大や株主権利確定日の柔軟化で、防衛策として活用されるのもとは思われないもの。
  • 取締役解任要件や合併等企業再編の関する承認要件で、その必要性や株主価値を損なうものでないという説明がないもの。
B議決権行使のアドバイザーの動き
●ISS:議決権アドバイス市場の80%を支配 世界で約35000社の総会をチェック。日本は約3000社。 デイスクロージャーの一段の充実と更なる総会の開催日の分散化を定時総会以外に臨時株主総会の開催を希望。電子化によるコミュニケーションの円滑化。株主を軽視しながらステイク・ホールダーの満足を充実は難しい。

●プロキシー・ガバナンス:2006年3月日本進出。
機関投資家に議決権行使のアドバイス。日経225社を対象に議案の分析。個別企業ごとの評価を行い、一律の評価はせず。長期的な株主価値の向上を目指す。同業他社との業績や株価の比較分析。社外取締役・社外監査役の有無のチェック。

●グラス・ルイス:2005年6月日本へ。
65ケ国12,000社の上場企業を対象に調査・分析を行い、機関投資家にサービス,資産運用 の投資分析,議決権行使のアドバイスのみならず、法的リスク、財務リスク、信託リスクなどの分析も行い、議決権行使の運営サポートもする。
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