コーポレート・ガバナンス評価研究会では、コーポレート・ガバナンス、内部統制、リスクマネジメントについて日々研究しております
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CGI(コーポレート・ガバナンス・インデックス)について
1998年より日本の有力企業約300社をグルーピングし、3年間にわたって各社の有価証券報告書に基づき取締役会の規模、 社外役員の出身母体、社外取締役の独立性、執行役員制度の導入の有無、ストック・オプション制度導入の有無、高齢 取締役の有無、役員の姻戚者の数など、いわゆるガバナンスに係わる項目を個別に調査してきた。この調査結果に関連してコーポレート・ガバナンスの実態を係数として捕らえ、その概念に ついて2001年9月に『外国人株主の議決権行使』(社団法人商亊法務研究会より)にてCG(Corporate Governance)インデックス (以下CGIという)として紹介した。
※注:この「CGI」は平成14年7月に特許庁に商標登録済みである。

このCGIの概念は、各企業のコーポレート・ガバナンスの実態を係数として把握し、その当該企業のガバナンスの状況を よりよくするためには、各ガバナンス関連項目に関してどの分野をどの程度まで具体的に改善すべきかを判断するために 数値化して表したものである。つまり、このインデックスはガバナンスの現状とその後の進捗状況を把握するために、これに 係わる各項目をガバナンスの実践に係わる重要度に応じて採点し、指数化しようとしたもので、この指数化により各企業の コーポレート・ガバナンスの具体的進捗状況を容易に判断したり、比較する一つの判断材料にもなるものである。

特に2001年10月から2002年はじめにかけてアメリカでみられたエンロンやワールドコムのような企業不祥事は、会計監査法人が 経営幹部と癒着して公正な監査や、適正な報告がされなかっただけでなく、アナリスト達も中立的立場で適正な評価をしなかった という問題点が明らかになった。日本においても株主価値を毀損する不祥事企業は毎年続出している。これら一連の内外企業の 不祥事は投資家や株主が株式投資をする場合、短期的な業界動向や財務関連情報を多角的に収集・分析する従来からの 証券アナリスト的アプローチだけでなく、企業イメージや企業価値にインパクトを与えると思われる様々企業統治の実態や潜在的 リスクについても、多面的に常にチェックする必要性を一段と高めたと言える。2003年6月発表の日経クイック調査によると、日本の機関投資家の90%が株式投資に際して、企業統治問題のチェックは重要であるとしている。

投資先企業の業績が不振となり、その株価も低迷し続けている場合、一過性のものなのか構造的な問題があるのかをまづ分析する 必要がある。このため企業のコーポレート・ガバナンス状況をインデックス化し他社と比較したり、継続的にチェックをすれば 内部統制の基本的構造に問題があるのか、経営トップの資質に問題があるのか、または社外取締役の経営監視機能が十分働いて いないためなのかなど、いろいろな角度からその特性を考慮すべきである。

具体的には、歴史のある重厚長大型の企業においてはその社風や伝統に基づき内部統制が合理的に行われてきたため、大事に至る 不祥事は起こらなかったことが多い。この場合のCGIの採点方法はオーナー系企業に適用する項目とは異なる。しかし、人材が 豊富で牽制機能がしっかりと働いていれば指摘すべき点は少なくなろう。つまり、オーナー系企業では株主構成だけでなく、経営 トップの独自の価値観や経営方針に基づき、一般的な企業とは異なる企業統治が見られる場合がある。オーナー自身が筆頭株主で オーナーの息のかかったグループ株主を合計すると40〜50%以上の株式を身内が保有するような企業では、すべての議決権は会社側が 制することになり、トップの自覚がない限りガバナンスの改善は難しい面がある。また、株式の持合も殆どなく機関投資家が大口株主 となり、株主構成がほどよく分散されている企業では、「モノ申す」株主の存在を無視した企業統治は行い難いと言えよう。

いづれにせよ、CGIは各チェック項目を一律に採点せず、チェックする企業の特性を十分加味して行う必要がある。
2.CGIの測定方法
CGIに係わるチェック項目は投資家・株主などの利害関係者にとって、重要と思われる様々な項目をできるだけ抽出し、大項目、中項目、 小項目ごとに分類して、まずチェックリストを作成する。このチェック項目の中には有価証券報告書や定款、社内規則で把握できるものと、 投資先の企業ごとに訪問し、責任者との面談を行わないと把握することが難しいものがある。つまり、CGIを測定する場合は、企業が 外部に公表している情報だけでなく、会社内の情報も必要となる。 CGIの測定対象となる項目の概要は以下のとおりである。

(1)ガバナンスの基本項目
@内部統制の適正性
CGIの把握で最も重要視されるのは、内部統制がキチンと制度化されているか否かである。この点は企業の核とも言える重要な部分である ため、ここの配点は最も高い。このため、このガバナンスに係わる基本的要素がしっかりと構築されていない企業は大きなマイナスとなる。 具体的には経営の中に、コーポレート・ガバナンスの理念や原則が明確に位置づけられ、経営の戦略にはっきりと明示されているか否か という企業の支配構造の適正性である。また、これらは株主価値を高めると同時に企業イメージも高め、不祥事防止にもなるため最も重視 されるべき基本的要因といえる。商法改正に伴い、委員会等設置会社となって、社外取締役を選任しても、実態的に内部統制がしっかりと 機能しているか否かが重要なポイントである。 取締役会の規模、社外取締役の充実性、株式の分布状況、利害関係者の権利保護や紛争事例などの重要項目は年次報告書、有価証券報告書、 監査報告書、定款、社規社則などからチェックされようが、社外取締役や内部出身の取締役の機能を採点するには工夫が必要になる。

Aディスクロージャー体制
投資家、株主にとってIRと情報公開体制はガバナンス体制を社外に適切に明示すると同時に投資家、株主とのコミュニケーションの観点からも 極めて重要である。このため、この項目の配点も重要視される。IRの専任部署が設置され、リスク・マネジメント対策やディスクロージャー 体制がキチンと明確になっているか否かも企業統治の重要項目の一つがチェック対象項目である。この項目の大半は、IR関連資料やサイトで チェックされるが、部分的にはIRの専任者やリスク・マネジメントの責任者との面談も必要である。コーポレート・ガバナンスの実践で具体的に 目に見えるものとして株主とのコミュニケーションがある。IRは株主とのコミュニケーションであり、デイスクロジャーがキチンと行われている IR活動か否かは重要なチェック項目である。

B財務面の効率性・健全性
従来から、投資家・株主はアナリストが行ってきた投資先企業に対する財務面の格付けに基づいて投資判断を行う場合が多かった。財務の格付けの 低い企業への投資はリスクが伴うため、当該企業の株価は市場で判断され形成される。しかし、企業を判断する要素が複雑になるに従い、CGIの 構成要因として財務面のチェックの必要性は変わらないものの、それらのチェックポイントは主として資本の効率性や経営の健全性を株主価値 向上の観点から重視するようになった。
このため、自社株買い、ROE/ROAなどをチェックするのは当然として、粉飾決算や株価下落要因はCGIにとって著しいマイナスポイントとなる。 ただし、株式投資に際して、財務関連、投資指標の面から企業分析をしっかり行うことが「主」であり、コーポレート・ガバナンスの観点から資本 政策や財務面をチェックするのは「従」であり、そのチェック内容も限定的となる。このため、この領域の配点は相対的に上記の各項目に比較すると 低いといえる。

(2)組織としての機関・機構のポイント
コーポレート・ガバナンスのチェック項目で外部から見え難い部分が、取締役会の具体的運営、社外取締役の適正性や監査機構の有効性などである。 つまり、株主権利、取締役会のあり方、監査役会(または監査委員会)などは、コーポレート・ガバナンス実践の重要なツールでもあるため、この 項目の配点は@と同様に重要視されるべきである。

@株主の権利
株主の側に立った株主総会は、単に開かれた株主総会だけでなく、実質的に株主重視を目に見える形として各株主に明示しているか否かが問われる。 つまり、会社側の株主への「気配り」、「思いやり」が行われているか否かがチェックのポイントとなる。また、株主を軽視した経営を継続すれば、 多くの株主はEXIT(市場売却)になり、株価低迷は避けられない。このため、チェック項目としては、株主の権利行使の利便性を含めた株主重視の 考え方をしているか否かも含まれる。

A取締役会のあり方
企業経営に係わる最も重要な意思決定機関は取締役会である。 コーポレート・ガバナンスがしっかり実践されるか否かはこの取締役会の運営の功拙次第である。取締役会の運営の公正性、透明性、効率性、説明 責任などガバナンスの中核部分は外部からは見えない部分が多い。取締役会規則、定款、同議事録などのチェックが必要となろう。企業によっては、 これらの開示に難色を示すことがある。この場合、この項目のチェックは限定的になり、CGI評価に係わる配点が欠落しマイナスの影響を与えること になる。株主から請求があれば取締役会の議事録などは開示する事項でもあるため、CGIをより正しく評価させるためにも協力してほしい重要な チェック項目である。

B社外取締役の適正性
「社外取締役」はコーポレート・ガバナンスのキーワードである。このため、ガバナンスの観点から、いかなる社外取締役が、どういう処遇で 選任され、社内で期待されている通りに機能しているか否かを評価することは、企業評価にも直結する重要項目の一つである。社外取締役の 経歴だけで判断しにくい項目が多いため、当人(達)と面談する必要がある。社外取締役に係わる定義について、ニューヨーク証券取引所は極めて 厳しい基準を設けている。日本では「過去にその会社または子会社の業務を執行する取締役、執行役または支配人その他の使用人と なったことがなく、現に子会社の業務を執行する取締役もしくは執行役またはその会社もしくは子会社の支配人その他の使用人でないものをいう」 とある。
既述のとおり、日本の有力公開企業において、米国式の定義に基づいて選任された社外取締役は稀であるといえる。米国で見られるように、ヘッド ハンティング会社が、キチンとした社外取締役候補を紹介して選任するケースはまずなく、A社の経営トップの「お友達」か「知り合い」が社外取締役 として推薦される。推薦されたその役員は、自分の会社にもA社の経営トップを形式的な「社外取締役」として迎え入れるケースが見られる。つまり、 役員間の「人の持合い」である。日本企業において、社外取締役が法的に定められて日が浅いため、この事項のチェックは内容項目は重要であっても 回答内容はあまり期待できないと思われる。このチェックポイントにキチンと回答できる企業はプラスとなり、CGIは相当高い評価となろう。

C監査機構の有効性
日本だけでなく、欧米企業においても粉飾決算をはじめとした企業の事件ごとは後を絶たない。不祥事は発覚してはじめてガバナンスが機能して いなかったという事実が明らかになり、株主価値に対して甚大なる影響を及ぼすだけでなく、投資家・株主の信頼喪失と経営者に対する不信にも なる。このため、監査機構の独立性確保と監査役会(または監査委員会)の明確な規定とその運営がコーポレート・ガバナンスの構築の観点からも 不可欠である。この監査機構には表面的な組織作りよりも、内部監査システムの充実性や監査法人との「距離を置いた関係」もチェックする必要 がある。この項目のアプローチも有価証券報告書、監査報告書や事業報告書からチェックすることが難しい場合があるため、直接監査役(または 監査委員会のメンバー)にインタビューする必要がある。

(3)経営トップに対する評価
「魚はアタマから腐る」といわれている。同じ環境下で競争してもトップ次第で企業組織は輝き、株価も上昇する場合もあれば、その逆の動きを することもあり得る。経営トップ自らが明確な理念や事業目標を掲げ、目的遂行のために適正なロジスティクスの展開とインフラ整備をキチンと 行い、リーダーシップを発揮すれば、株主にとっても理解しやすい企業となる。このためには、取締役の責任体制の明確化と実績評価に伴う報酬 システムの導入は、株主をはじめとしたステークホルダー対策の配慮や、倫理・コンプライアンスへの関心などとともに重視されるべきチェック ポイントである。

(4)社外取締役の評価
(2)において社外取締役の適正性について既述したが、ここではその評価についてチェックしてみよう。社外取締役が内外から期待されている通り に機能しているか否かはコーポレート・ガバナンスの観点からも大変重要である。社外取締役に係わる資質や資格、勤務態度、職務遂行能力など のチェックは外部からは一定の期間が経過しないと評価しにくい面があるため、短期的には判断しにくい場合がある。社長や会長との面談などに より項目関連情報を収集するなどの工夫と努力が求められるチェックポイントである。

(5)社会的責任
企業が株主価値を維持または高めながら持続的に成長を続けていくためには、単に市場主義的でかつ成果主義的な米国の行動様式でなく、社会的 責任(以下SRIという)を果たすことも重要であるとの視点がある。このSRIには会社の評判、環境への配慮、人道主義的な配慮など幅広いチェック 項目が挙げられる。ガバナンスをより広い範囲から考察する必要があれば、これらの項目を排除することは難しいため、企業の理念、事業報告書、 環境白書などを中心にSRIの事項をガバナンスのチェック項目の一環として評価することは意義があると判断し、項目として入れた。SRIの重要性 から、配点の比率は(4)の社外取締役の評価と同じ扱いとした。
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